COLUMN

成功?失敗?
テレワーク活用の秘策

導入企業の多くがその効果を実感している「テレワーク」。
それなのに「うちの業務は向いていないのでは」
と導入を躊躇する経営者も多いという。
実際に成功するテレワークの秘策を、第一人者に聞いた。

株式会社テレワークマネジメント田澤 由利 社長

株式会社テレワークマネジメント
田澤 由利 社長

テレワークは個人単位ではなく、チームでの導入を

近年、急速に導入する企業が増えているテレワーク。場所と時間を有効活用でき、様々な事情を抱えた人も働きやすくなるワークスタイルだ。しかし、導入に躊躇したり、制度はつくったもののうまく活用できていない企業も少なくない。
その理由の1つは、テレワークを「個人単位で導入・利用するもの」と考えてしまうことだ。
90年代からテレワークを導入、日本各地のスタッフとともに業務を行っている株式会社テレワークマネジメント代表取締役の田澤由利さんは説明する。
「個人ではなく、チームごとにテレワークできるようにすることが重要です。自宅、外出先、サテライトオフィスなど、どこにいてもいつもの仕事ができるようにシステムだけでなく、仕事のやり方や社員の意識を変えていくことが必要です」
テレワークを導入しても失敗に終わってしまうケースは、「離れて(テレワーク)できる仕事は限られている」と考えてしまうことから起こるという。
「他の人と担当分けしやすい仕事、集中したほうが効率がいい仕事、重要なデータが含まれていない仕事など、テレワークで“出来ること”を探して、切り分けてしまうと、行き詰まることが多いです。その結果、テレワークを導入するメリットを得られません」と田澤さん。
時間や量が限定される仕事をテレワークの対象とするだけでは、チームとしての業務効率、生産性は向上しない。

テレワーク導入企業における導入効果

テレワーク導入の準備が会社全体の働き方改革に

では、テレワークを成功させるにはどうしたらいいのだろうか。田澤さんは「まず、今の仕事を、会社から離れた場所でできるようにするにはどうしたらいいか、という発想で仕事のやり方やシステムを見直すことが大切」と言う。
「最初は資料をデジタル化したり、ツールを活用したりして、部署を巻き込んで意識を変えていくことが大事です。今の仕事の10%、30%、50%と少しずつテレワークできる仕事が増えていくことで、より多くのメリットを享受できるようになります」
まずは、どこにいてもオンラインでつながり、必要に応じて相談や会議をしたり、クラウドサービスなどを活用して書類を取り出したりできる環境をつくること。そのため書類のペーパーレス化や、誰がどの段階から加わっても仕事の流れや進捗状況が分かるように業務の「見える化」が必要だ。
こうした業務フローの見直しや作業の効率化、無駄な会議の撤廃や時間の短縮化などテレワーク活用のための準備を進めることは、結果として会社全体の働き方改革の推進につながるのだ。

テレワークの導入により実現した効果、実現を期待する効果

テレワークは育児や介護中の社員だけが対象ではない。 テレワークを活用できている企業の多くは、テレワークは特別な事情の人だけのものではないという意識を従業員が共有できている。テレワークを導入することで、生産性の向上や様々な働き方を可能とし、多様な労働力を活用できるようになる。また、優秀な人材の確保にもつながってくる。

テレワークは、労働人口が減少する中で、長時間労働の是正や育児・介護と仕事の両立など、日本が抱える経済成長への課題を改善できる大きな足がかりでもある。まずはできることから、そして少しずつ業務全体へと上手に導入していきたい。