COLUMN

職場に「イクボス」を増やすには?

働き方改革やライフ・ワーク・バランスの実現に向け、その旗振り役として今注目される「イクボス」。
その特徴と育成のポイントについてまとめた。

働き方改革に欠かせない「イクボス」の存在

「イクボス」とは、職場でともに働く部下やスタッフのライフ・ワーク・バランスを考慮し、個人のキャリアと人生を応援しながら、組織に貢献できる結果を出す上司(経営者、管理職)のこと。組織をまとめる立場の役職者自らが率先して、働き方と休み方を改善する意識を高めることは、組織全体の改革に欠かせない条件であるとして、「イクボス宣言」を行う企業や「イクボスセミナー」を実施する企業が増えている。

組織内でイクボスが育てば、「上司がいい顔をしないから早く帰れない」「育休取得の相談をしにくい」といった部下側の悩みも解消される。制度改革よりも難しいと言われる“風土改革”に、イクボス育成の効果は高い。一方で、バリバリ働いたことによる成功体験がある上司ほど、「ライフもワークと同等に尊重すべき」という価値観を理解しづらいという側面もある。だからこそ、積極的な教育機会の提供が求められている。

イクボスを育成する方法は主に3つ。1つは、トップダウンによる働き方改革の意識浸透だ。労働人口が減り続ける将来に向けて、働き方・休み方を変える必要に迫られている社会的背景や、企業の成長戦略としての改革であることを経営方針として理解できるように情報発信を行うこと。働き方改革が会社の経営方針であることが分かれば、管理職は積極的に学ぶ姿勢を持ちやすい。

次に、ノウハウやツールの提供。「部下のライフを応援しなさい」と言われても、その具体的方法が分からなければ実践できない。日常業務での行動にどんな意識付けをしたらいいのか、外部講師を呼んでのセミナーや他社事例などを勉強できる機会をつくると効果的だ。

同時に、各種休暇・休業制度の仕組みなどの基礎知識習得を目的とした、管理職向け研修の充実も必須。部下から育児休業の相談を持ちかけられた時など、“イクボス力”が問われる典型的場面での応答例を具体的に紹介したマニュアルを配布している企業もある。

最初は部下の「現状把握」、自ら積極的に情報開示を

ノウハウ習得以前に、「部下一人ひとりの事情についてよく知らない」という上司の場合は、現状把握をすることから始める必要がある。部下の家族構成や、働き方に制約が生じる事情があるかどうか、将来も含めてどんな働き方の希望やキャリアプランを持っているかなど、部下のライフとワークを総合した情報を集める努力を始めるといい。一方的に聞き出すのではなく、まず自ら情報開示することで部下も安心して話しやすくなる。こういったコミュニケーションが、チーム内の信頼関係の醸成にもつながり、いざという時の業務共有や連携力を高める効果もある。

また、今後はイクボスに向けた評価制度の整備も課題となる。チーム全体のライフ・ワーク・バランスの向上に貢献した管理職が、組織の中で評価され、存在感を高めていくことができれば、働き方改革も一段とスピード感を持って進んでいくはずだ。