COLUMN

若手社員は「働き方改革」と
どう向き合うべきか

常見 陽平 氏
千葉商科大学 国際教養学部

若者たちはもっと働きたいのか

「やる気に満ちあふれた若者に、“もっと働きたい!”と言われたら、どう答えるべきですか?」

ある大手メディア企業の役員からこんな質問を頂いた。実はこの問題は、企業の経営トップ層や管理職と会うたびに相談されることである。

「入社前は“体育会系”で“きつい”と聞いていたので、拍子抜けしました」

大手証券会社の若手社員はこう語った。

以前は不夜城とも呼ばれた企業だが、現在は19時までには退社するという。

どちらも「働き方改革」が関係している。

働き方改革による社員の不完全燃焼

2019年4月に「働き方改革関連法」が施行され、2020年4月からは中小企業にも適用される。もっとも、管理職も若手社員も実はこの「働き方改革」でモヤモヤしている。気をつけないと「時短運動」に矮小化されてしまい、単なる「早く帰れ」運動になってしまうからだ。仕事のやり方や、絶対量を見直さなくては労働強化になってしまう。何より「働き方改革」が「働かない改革」になってしまい、不完全燃焼感を誘発してはしょうがない。自分の働き方を考える上でも、仕事の不完全燃焼感を解消する上でも、一社員として取り組むべきことを考えてみよう。

自分のやるべきこと、
やらなくてもいいことを明確にする

世の中全体の方向性として、長時間労働を是正すること、働いた時間だけでなく成果を評価すること、多様な人が力を合わせて働くこと、ITなどを利活用することへと進んでいる。この全体の方向性を自分の仕事に置き換えるとどういうことなのかを考えてみよう。

「働き方改革」で、最も個人が取り組むべきことは自分にとって仕事とは、会社とは何なのかを立ち止まって考えることである。その上で、社会、顧客、組織が自分に期待していることは何かを考えると、自分のするべきことが明確になる。

同時に、やらなくてもいいことを明確にしよう。例えば、資料の数や質だ。膨大な資料の作成は誰も期待していないかもしれない。それよりも、相手が期待していることに注力した資料の方が意味を持つ。その上で、自分は今、何にどれだけ時間をかけているのかを把握しよう。私はこれを「はかる」と呼んでいる。ざっくりでも構わないのでスケジュール帳を見て、やらなくていい仕事を探してみよう。多くの人は、やらなくてもいいこと、もっと速くできることに時間をかけていることに気付くだろう。さらには大切なことに時間をかけていないことに気付く。大事な案件に十分な時間をかけていないことや、パワーをかけなくても良い案件に時間をかけていることに気付くだろう。

ご飯の仕事とおかずの仕事

仕事のこなし方についても注目したい。アプリケーションの機能などを学べば、より効率的にできたのではないか。自分がこなすのではなく、他の人にやってもらうという手はなかったか。

「働き方改革」は別に「時短」だけではない。特に、これからの自社や自分につながる時間を確保することも大切である。私はこれを「ご飯の仕事」と「おかずの仕事」と呼んでいる。今すぐやらなければならない「ご飯の仕事」だけでなく、自分が好きな「おかずの仕事」をする時間を確保し、今すぐ成果が出るわけではないミーティングや、情報収集にあてることで、知的好奇心が刺激されるし、実際、中長期では仕事に役に立つ。

若手ビジネスパーソンにとって、今、そこにある課題はもっと仕事をしたいのに、早く帰らなくてはならないという問題だ。そのフラストレーションをどこで解消するかを考えたい。別に人生は仕事が全てではない。それ以外の喜びを見つけることも大切だ。それでも、どうしても仕事をしたいのなら、読書をしたり、勉強会に参加する時間をつくろう。書店にふらりと行ってみて、自分の仕事に関係ありそうなもの、興味を持ったものを手に取ってみよう。

「働き方改革」は上から「与えられる」ものにしてはいけない。自分がどう働きたいか、どうありたいかを考える機会にしよう。