COLUMN

現代の父親の役割を考える
~男性の家庭進出に向けて~

池田 心豪 氏
独立行政法人 労働政策研究・研修機構
主任研究員

仕事のために子育てに関われない?

育児に積極的な男性を「イクメン」という。2010年から厚生労働省は「イクメンプロジェクト」を発足させ、男性の育児休業取得推進を行っている。そうした取組もあり、男性の育児休業取得率は上昇し、昨年2018年は過去最高を記録した。とはいえ、その割合は6.16%にとどまる。

厚生労働省が2018年3月に出した「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」報告書にある調査結果によれば、末子誕生時の勤務先に育児休業制度があり本人にも取得希望があったが、育児休業を取らなかった理由は「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」(38.5%)、「育児休業を取得しづらい雰囲気だった」(33.7%)等、職場の要因を指摘する割合が高い

男性育児は必需品? ぜいたく品?

筆者も幼い子を持つ父親の一人。子供との時間を大切にしたいという気持ちはよく分かるし、職場の雰囲気や仕事の状況がそれを許さないことにいらだちを覚えるのも分かる。

だが、やや意地悪な言い方をすれば、会社はそれほど切実なニーズがないと思っているから男性の子育て支援に前向きでない、ということはないだろうか。実は前述の厚生労働省報告書には、末子誕生時に年次有給休暇等、育児休業以外の休暇制度を利用して仕事を休んだ男性が5割弱という結果も示されている。育児休業のように前々から休むと決めるのではなく、状況に応じて「休めたら休む」という柔軟な姿勢で育児に関わる男性は少なくないようだ。

その意味で、男性の子育て支援は余裕があるときに利用する、いわば「ぜいたく品」であり、家庭生活にとって不可欠の「必需品」とまでは思われないのではないか。

妻が育児休業から早く復職しなければいけないから交替で夫が育児休業を取らないといけない、妻の残業の日は夫が子供を保育園に迎えに行かないといけない、その意味で男性の子育ては必需品だという家庭は確かにある。その一方で、そこまでの必要性を感じていない家庭もある。妻が専業主婦だったり、実家からの手助けを得ることができたりという家庭である。

扶養と子育て~どちらが必須?

では、家庭の必需品といえる男性の役割は何か。一世代上の昭和の父親にとっては、一家の大黒柱として家族を扶養する役割(「稼得役割」という。)こそが必須であった。この役割に忠実な父親達は子育てを妻に任せて一心に働いた。現代の父親はどうだろうか。

実は、この稼得役割から自由になることが男性の育児参加度を高める(図1)。家庭において女性の収入が家計にとって必需品になれば、男性の子育ても必需品になるというわけである。加えて、男女の職域を統合している職場では男性の育児参加度が高い(図2)。仕事が忙しいから子育てに関われないのは、単なる業務の繁閑や労働時間管理の問題だろうか。そこに昭和の父親の残像はないだろうか。

男性の子育てが必需品として普及するためには、表面的な仕事と子育ての調整に終始せず、一歩踏み込んで男女の役割を見直すことが重要である。